日本と中国の飲む水の違い

日本と中国の飲む水の違い

日本の飲食店では、当たり前のように氷の入った冷たい水が提供されます。しかし、中国の飲食店では、お白湯や温かいお茶が出されるのが一般的です。この違いに最初は戸惑うかもしれませんが、背景にはそれぞれの国の水事情や文化、健康に関する考え方の違いが深く関わっています。

本コラムでは、私、中田が日本と中国での生活経験をもとに、「なぜ中国では冷たい水を飲まないのか」「冷たい水は人間の体にどのような影響を与えるのか」について考察していきます。

中国ではなぜ冷たい水を飲まないのか?

まず、前回のコラムでも書いていますが、中国では水道水をそのまま飲むことができません。そのため、一度沸騰させて水道水に含まれる細菌や不純物を取り除く習慣が根付いています。家庭や飲食店では、冷たい水ではなくお白湯や温かいお茶が提供されるのは、この背景によるものです。中国では、ほとんどの家庭に電気ポットがあり、いつでも温かい飲み物が飲めるようになっています。

また、中国の伝統医学である「中医学」では、体の「陰」と「陽」のバランスが重要視されており、冷たい水は体を冷やし、このバランスを崩すと考えられています。特に、胃や消化器系に負担をかけるとされ、冷たい飲み物は避けるべきだという考え方が根付いています。夏場でも、常温の水や温かいお茶を好んで飲む人が多いのは、この影響が大きいのです。

冷たい水が体に与える影響

科学的にも、冷たい水を急に飲むと、体温を急激に下げる可能性があり、胃腸の働きを鈍らせると言われています。特に、食事中や食後に冷たい水を飲むと、消化酵素の働きが低下し、消化不良を引き起こす可能性があるとされています。そのため、中国では食後に温かいお茶を飲む習慣があります。温かい飲み物は消化を助け、体に優しいと考えられているのです。

さらに、冷たい水は血管を収縮させるため、特に冷え性の人や高齢者にとっては体に負担をかけることになります。免疫力を低下させる可能性も指摘されており、風邪を引きやすくなるとも言われています。中国では、特に冬場や体調が悪いときには、温かい飲み物を摂ることで体を温め、健康を維持しようとする考え方が一般的です。

日本と中国の文化の違い

日本では、水道水の品質が非常に高く、さらに洗浄技術も非常に優れているため、水道水をそのまま飲むことができます。また、日本の飲食店では、特に暑い時期には氷入りの冷たい水が提供されることが一般的です。私や周りの方では「冷たい飲み物=さっぱりして爽快感がある」という感覚があり、特に夏場には冷たい水やジュースを飲むことを好みます。

一方、中国では、健康のために温かい飲み物を好む文化が根付いています。例えば、中国では朝食時に温かい豆乳を飲むことが一般的であり、冬場だけでなく、一年を通じて温かい飲み物が好まれる傾向にあります。また、ビールなどの飲料も冷えたものではなく、常温のものを頼むことが一般的です。これは、冷たい飲み物が体に悪影響を及ぼすという考え方が根強いためです。

このように、日本と中国の飲む水の違いには、単なる習慣の違いだけでなく、水の安全性、健康に対する考え方、文化的な背景が大きく影響しているのです。

まとめ

日本と中国では、飲み水に対する考え方が大きく異なります。日本では冷たい水を飲むのが一般的ですが、中国では温かいお茶やお白湯が主流です。これは、水道水の安全性の違いや、中医学に基づく健康観念が影響しています。

日本人にとっては、食事中に冷たい水を飲むのが普通かもしれませんが、中国では「消化に悪い」として温かいお茶や常温のビールを飲むのが一般的です。この違いを理解することで、海外での生活や文化交流がよりスムーズになるかもしれません。

 

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