これからの日本における水の価値(需要)

これからの日本における水の価値(需要)

日本の水は本当に豊富なのか?

私たちは日常生活の中で、蛇口をひねればいつでもきれいな水が出てくる環境に慣れています。川や湖などの水資源も身近にあり、多くの人が「日本は水に恵まれた国だ」と感じているかもしれません。しかし、実は日本の水資源は決して豊富ではなく、さまざまな課題を抱えています。

それにもかかわらず、水の価値が過小評価される傾向があり、十分な意識を持たずに浪費されるケースも少なくありません。では、なぜ日本の水は「豊富ではない」と言えるのでしょうか? そして、これからの日本において水の価値(需要)はどのように変化していくのでしょうか? 本コラムでは、その背景とさまざまな課題を探りながら、日本の水資源の未来について考えていきます。

水資源と食料自給率の関係

現在、日本の食料自給率は約38%と低い水準にあります。さらに、国内で生産される食品の多くは輸入原材料に依存しており、それらを除くと、実質的な食料自給率は20%未満になるとも考えられています。この状況を改善するため、日本政府は2030年までに食料自給率を45%に引き上げる目標を掲げています。

しかし、この目標達成には農業や畜産業の拡大が不可欠であり、それには大量の水資源が必要となります。農作物の栽培には灌漑用水が、畜産には飲用水や洗浄水が欠かせません。

たとえば、

  • 2020年のデータによると日本全国の水使用量(年間約797億m3)のうち、農業用水は約3分の2を占めている。
  • 1kgの米を生産するには約3,000Lの水
  • 1kgの牛肉を生産するには約20,000Lの水が必要と言われています。

                                      

 全国の水使用量

(注) 1.国土交通省水資源部作成
        2.国土交通省水資源部の推計による取水量ベースの値であり、使用後再び河川等へ還元される水量も含む。
        3.工業用水は従業員4人以上の事業所を対象とし、淡水補給量である。ただし、公益事業において使用された水は含まない。
        4.農業用水については、1981から1982年値は1980年推計値、1984から1988年値は1983年推計値、1990から1993年値は1989年の推計値を用いている。  
        5.四捨五入の関係で合計が合わないことがある。

資料:令和6年度版   日本の水資源(国土交通省 土地・水資源局水資源部)

食料自給率を向上させる動きが進むにつれ、日本国内の水の需要は今後さらに高まることが予想されます。

海外資本による水資源の買収

近年、日本の水資源は海外資本による買収が進んでいると言われています。森林や水源地が外国企業の手に渡ることで、将来的に日本国内の水の供給が不安定になったり、価格が高騰したりするリスクが懸念されています。

なぜこのような状況が生まれているのでしょうか? 一つの理由として、日本人が水に対する価値を十分に認識してこなかったことが挙げられます。水が「当たり前にあるもの」という認識のもと、水資源の管理や保全の重要性が軽視されてきた結果、日本の貴重な資源が海外に流出してしまう事態を招いているのです。

また、水源地の買収は単なる土地取引ではなく、日本の持続可能な水供給に影響を与える重要な問題です。これから日本の水需要が高まる中で、水資源の適切な管理と保全がますます求められるでしょう。

水の価値を再定義する”みずのみず"の取り組み

こうした状況を受け、水の価値を見直し、日本の水資源を守るための取り組みが必要になっています。”みずのみず “は、日本の水をブランドとして確立し、その価値を高めることで、水資源の持続可能な活用を目指しています。

水を「単なる生活必需品」ではなく、「価値ある資産」として認識することが重要です。そのためには、

  • 消費者や企業が 水の大切さを理解し、水資源の保全に対する意識を高めること
  • 水資源の所有者に対し 「日本の水を守ることの意義」を再認識してもらうこと
  • 適切な管理や経済的インセンティブ を提供することで、 安易な海外売却を防ぐこと

が不可欠です。

また、水資源の所有者に対しては、「水の未来を守るためのアクション」が求められています。適切な管理や経済的なインセンティブを提供することで、安易な海外売却を防ぎ、日本国内での持続的な活用につなげることができます。

日本の水の未来のために

水は、私たちの生活に不可欠な資源であり、経済や食料安全保障とも密接に関わっています。しかし、その重要性を正しく認識し、適切に管理しなければ、日本の水資源は今後ますます厳しい状況に直面する可能性があります。

「水の価値を再定義する」ことは、日本の未来を守ることにもつながります。私たち一人ひとりが水の重要性を理解し、日常生活の中で意識的に行動することが、持続可能な水資源の確保につながるでしょう。

今こそ、日本の水の価値を見直し、その未来を守るために、一人ひとりができることを考えていきませんか?

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