アメリカの水は本当に硬い?

アメリカの水は本当に硬い?

アメリカに行ったら、「肌が荒れた」「髪がきしんだ」「なんとなくお腹の調子が悪かった」

旅行から帰ってきた人の話を、一度は聞いたことがあるかもしれません。原因としてよく挙がるのが、食事の違いや疲労です。それ以外にも水の硬さも原因かもしれません。

アメリカの水は本当に硬いのか。その場合、身体にどう影響するのか。データをもとに整理します。

アメリカの水は、本当に硬い

結論から言えば、アメリカの水は硬いです。ただし、場所によって大きな差があります。

USGS(米国地質調査所)の分類では、硬度180mg/L以上を「非常に硬い水」と定義しています。日本の水道水の平均硬度は約50mg/Lで、ほぼ軟水に分類されます。

都市別で比較すると、その差は一目瞭然です。

都市 硬度 分類
東京 約50mg/L 軟水
ニューヨーク 約40〜80mg/L 軟水〜中硬水
ロサンゼルス 約200〜300mg/L 硬水

※硬度の分類基準はUSGS(米国地質調査所)に基づく。各都市の数値は同機関のデータをもとにした目安値。

ニューヨークは例外的にアメリカの中でも軟らかい部類ですが、ロサンゼルスを含む西部・中西部の多くの都市では、日本の水道水の4〜6倍の硬度の水が日常的に供給されています。

なぜアメリカの水は硬いのか

水が硬くなるのは、地質が関係しています。

水は地中を流れる過程で、通過する岩盤のミネラルを溶かし込みます。アメリカの中西部・西部には石灰岩や白亜質の地層が広く分布しており、地下水や河川水にカルシウムやマグネシウムが豊富に溶け込みます。これが硬水の正体です。

一方、日本は花崗岩などの地層が多く、水が地中を流れる距離も短いため、ミネラルが溶け込みにくく軟水になりやすい地質を持っています。同じ「水道水」でも、その土地の地質がそのまま水の性質に現れるのです。

硬水が身体に与える影響とは

硬水が危険というわけではありません。ただ、日本の軟水に慣れた身体には、影響が出やすいことがあります。

肌への影響

硬水に含まれるカルシウムイオンは、皮膚の天然保湿成分と結びつきやすく、肌の水分バランスを崩す一因になることがあります。また、石けんやボディソープが泡立ちにくく、すすぎ残しが起きやすいため、肌荒れや乾燥につながることがあります。「アメリカに行ったら肌が荒れた」という声の多くは、ここに原因があると考えられます。

髪への影響 

硬水でシャンプーをすると、ミネラルが髪の表面に付着してキューティクルを乱します。洗い上がりにきしみやごわつきを感じるのは、そのためです。日本のシャンプーを使っても、水が変わることで仕上がりが変わる場合があります。

胃腸への影響

硬水が直接的に胃腸を傷つけるわけではありませんが、マグネシウムには緩下作用があるため、急に多量の硬水を飲むと腸が反応することがあります。特に渡航初日に体調の変化を感じやすいのは、水質の急激な変化が一因として考えられます。

「知らずに飲む」と「選んで飲む」は何が違うのか

水を「知らずに飲む」場合、身体への影響は環境に委ねられます。どの都市に行くか、どのホテルに泊まるか、現地の水をそのまま口にするため、肌や胃腸の状態に左右されます。

一方、「選んで飲む」場合は違います。硬度や成分を把握したうえで自分に合った水を選ぶことで、身体への影響を自分でコントロールできます。旅行中のコンディション管理が、水一つで変わることがあるのです。

「どこに行っても体調を崩さない人」と「旅行のたびに肌が荒れる人」の差は、体質だけではなく、水への意識の差でもあるかもしれません。

なぜ「水を選ぶ」ことが必要なのか

日本では長らく、水は「当たり前にあるもの」として扱われてきました。この感覚は日本の水環境の豊かさの証でもありますが、同時に「水を意識しない」習慣を生んできました。

しかし世界に出ると、水は選ぶものです。アメリカでは2016年にボトルウォーターが炭酸飲料を抜いて最も売れる飲料カテゴリーになりました。その背景にあるのは、「安全かどうか」だけでなく「自分の身体に合った水を選ぶ」という意識の浸透です。

水を選ぶことは、自分の身体を知ることでもあります。何が合って、何が合わないか。その感覚を持つことが、水との新しい付き合い方の入口になります。

“みずのみず”が目指すのは、「水を飲む」から「水を選ぶ」という意識の変化です。アメリカの水事情を知ることが、日本での水との付き合い方を見直すきっかけになってほしいと思っています。

次回は「ニューヨークの水道水がおいしい理由」。同じアメリカでも、なぜニューヨークだけが軟水なのか。その背景を掘り下げます。

ブログに戻る